エマ【全10巻】貴族とメイドのかなわぬ恋を描く

作品名：エマ
著者名：森薫
出版社：エンターブレイン

産業革命が起きた十九世紀末。階級社会がまだ根強く残るイギリスのロンドン。爵位も持たず商家でもあるジョーンズ家は、莫大な財産と品格などによって、上流階級のジェントリに名を連ねていました。
ジョーンズ家の長男であるウィリアム・ジョーンズは、子供の頃に家庭教師（ガヴァネス）をしてもらっていたケリー・ストウナーの元を訪れます。そして、そこで住み込みで働くエマというメイドに一目惚れします。

ケリーの粋な計らいもあって、二人は互いに意識し合います。ある日突然、インドの王族アタワーリの子息ハキム・アタワーリがお忍びで現れ、ジョーンズ家に滞在することになります。

ハキムはウィリアムの友人。その彼もまたエマに一目惚れしてしまうのです。さらに、キャンベル子爵家の令嬢エレノア・キャンベルは、ウィリアムに惹かれていき……。

時代も場所も、日本人にはあまり馴染みがない世界のはずですが、意外なほどすんなりと物語に入っていけます。

それはおそらく作者の愛情のなせる業ではないでしょうか。エマとウィリアムの恋の行方を描いた本編は実質七巻でおしましです。ですが、本編では脇役だった人物たちが活躍する八巻以降も必見です。ケリーやエレノアへの愛が溢れています。

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