九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子【全1巻】
作品名:九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子
著作者:九井諒子
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
掛け軸絵などを手がける絵描きの高川白祿は、都いちとも謳われた画家。「その筆の運びの巧みさに描かれた生き物はたちまち紙を飛び出してしまうので必ず片側の瞳だけは描かないのだという……」と説明されるほど。
そんな白祿は、騙し盗られて金がなく、画材もほとんど売り払ってしまっていて、絵を描いて売ることさえできません。
そこで、かつて描いた、この世に存在しない竜などに瞳を描き入れて売り飛ばせば高値で売れると考えました。ですが足が悪いので、自身の掛け軸絵の贋作に、瞳を描き入れて目的地まで連れていってもらうことにします。
「どこかのアホが描いた」絵心のない酷い贋作の侍と馬と一緒に、白祿は旅に出ます。立派なお屋敷や大きな寺といった目的地に辿り着いてもなかなか上手く事が運びません。苦労の末、白祿が巨大な竜の絵に瞳を描き入れた瞬間、物語は大きく動き出します。
旅の仲間である侍が絵であるがゆえの衝撃のクライマックスや、白祿の息子の伏線などが絡まり、余韻のあるラストにつながります。 ご紹介した「金なし白祿」の他にも、〝竜〟などのファンタジックな存在が登場する短編が〝七〟作品収録されています。
『〝竜〟のかわいい〝七〟つの子』というタイトルはそのためだと思われます。まさに「かわいい子」といった感じの印象を受ける、作者のこだわりを感じさせる良作ばかりです。個人誌にて発行された作品も収録されており、特におすすめである「金なし白祿」もそのひとつです。
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