X細胞は深く息をする【全1巻】2人の研究者の純粋さと狂気を描く医療サスペンス
作品名:X細胞は深く息をする
著作者:やまあき道屯
出版社:サンクチュアリ出版
15年前に亡くなった一人の少女・優子と、彼女に恋した二人の少年・聖と剛。
優子は不治の心臓病でしたが、心臓移植をすれば助かる見込みがありました。聖には「誰かの死を待つ臓器移植は嫌だ」、剛には「死ぬのは怖い、生きたい」と言いのこし、彼女は亡くなります。
聖と剛、二人の少年は救えなかった優子への初恋を胸に、やがて先端医療の次世代を担う研究者となっていました。
聖は工学の立場から、生命倫理に問題を残さない人工心臓を創り出します。一方の剛は生物学の立場から、自分の遺伝子を利用できるES細胞による再生医療の研究に没頭。二人の研究が注目を浴び始めた頃、15年前のある隠された秘密が明らかになり……。
一つの目的に、全く反対のアプローチで挑む二人の研究者の純粋さと狂気を描く医療サスペンスです。
綿密な取材の上に成り立つハードSFの輪郭を借りながらも、死してなお周囲の人々を翻弄する優子の魔性と、それぞれの狂気じみた思惑が複雑に絡み合っていきます。
科学、恋愛、アカデミックハラスメント、研究者の貧困、とテーマはかなりてんこ盛り。玄人的にはアレっと思う表現もありますが、それを差し引いても多くの問題提起が得られる作品だと思います。
やまあき道屯 サンクチュアリパプリッシング 2010-04-03
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